〈マルちゃん焼きそば事件の真相〉
なんじゃこれは〜!
つくりなおせぇ〜
オーナーの怒声が店内に響き渡る
店にいた人たち全員が、僕と
オーナー(元上司)を見ていた。
僕は・・・・
前回までのあらすじ
会社を辞めてフラフラしてた
元カリスマ店長(自称)の僕
→元上司が独立するので引き抜かれる
→埼玉に引っ越し、店をオープン、しかし、が、しかし
店がオープンして数日後、その事件は起こった。
その頃、僕は深く、深く後悔していた、
多分、マリアナ海溝より深く。
軽く問題を上げてみると・・・
1店が汚い(油まみれ)
2店がぐちゃぐちゃ(いらんものが多い)
3メニューが決まってない(何?)
4バイトにやる気がない(しかたない)
5オーナーの奥さん(70代)も
店で働く(プライド高いド素人)
ツッコミどころ満載だが、どの問題も、
僕が時間と労力をかければなんとかなる、
と思っていた、5以外は。
オーナーの奥さんは事務系の仕事をしてて、
結構良い給料をもらっていたらしいが、
旦那が独立するってことで仕事を辞めて
手伝うことになった。
オーナーの奥さんだし、前の会社でも
えらい立場だったし、年齢も年齢だし、
で、みな気をつかうんだけどさ、
ド素人・・・、なんだよね。
なにも出来ない、ただ、店にいて、
口を出すだけ。
たとえば、だけど、プロ野球の球団のオーナーの
奥さんがベンチにいて、監督や選手にあれこれ
指示だしてたらさ、あんたならどう思う?
これは、マジでしんどかった。
もうね、店長いらね〜じゃん?
オーナー老夫婦二人で仲良くやれよ
って感じ。
そんな深く後悔し、居心地の悪さを感じ
はじめていた頃、その事件は起きた。
その事件は、後に、「焼きそば事件」と呼ばれ
るようになる。(僕のまわりだけね)
オープンして数日後、オーナーの知り合い4人が
飲みにきた。
当然、僕らに仕事を任せ、オーナーも席に座り
飲み始める。
ドリンクがおそいぞぉ〜、
何しとるんじゃぁ〜
さっそく、クレームが店長の僕に。
まぁ、たしかに遅かった、はい、はい、
ごめんなさいね、でも、ドリンクつくってるの
あんたの奥さんなんだけどね・・・・
ハンディも打てない、レジも出来ない、
料理もしらない、卓番も覚えてない、
オーナーの奥さんは何もできないので、
ドリンクと洗い物しか出来ないのだ。
(しかも、とても遅いのだ)
オーナーの知り合いが、焼きそばを注文した。
ここの焼きそばはオーナー自慢の特製品である。
本来、作り方は秘密なんだけど、特別に公開しよう。
オーナーがつくってるところを見せてもらって、
特別に教えてもらったのだ。(店長の特権)
1スーパーでマルちゃんの焼きそば(3食いり)
を買ってくる
2フライパンで、キャベツ、豚バラスライス、もやし、
を軽く炒めて麺を投入
3付属の粉ソースをかけて、まんべんなく混ぜ合わせる
オーナー自慢の特製焼きそばの出来上がり。(480円)
すると、バイトの子が僕を呼びにきた。
はい、なんでしょう?
キッチンで炒め物を担当してた、ベトナム人の
男の子が僕に言った。
ワタシ、ヤキゾバ、ツクリたくナイ、
ゼッタイ、モンクイワれる・・・
ははは、大丈夫だって・・・(マルちゃんだし)
ワタシ、ヤキゾバ、ツクリたくナイ、
ゼッタイ、モンクイワれる・・・
じゃあ、僕がつくるよ・・・
後に、はるばるベトナムからやってきた、
カタコトの日本語しかしゃべれない少年の方が、
僕なんかより人を見る目があったことが
証明されるのである・・・・
まるで、北斗神拳のように、一子相伝の焼きそばを
つくり、直接、席にもっていった。(野菜以外はマルちゃん)
オーナーはトイレに行ってて、席をはずしている。
うまい、うまい、と言いながら、パクパク食べる
オーナーの知り合い達。(それ、マルちゃんだよ)
トイレから戻ってきたオーナーが、焼きそばを一口、
そして・・・・、
なんじゃこれは〜!
つくりなおせぇ〜
オーナーの怒声が店内に響き渡る
店にいた人たち全員が、僕と
オーナー(元上司)を見ていた。
僕は・・・・
はぁ、何が悪いんですか?
(うまい言うてたよ、あんたのお友達)
そんなものは、自分で考えろぉぉぉ(キリ)
こっからのシナリオは・・・・、
つくりなおす→ダメ出しを2回くらい
つくりなおす→これじゃ、やればできるんじゃ、
うまいものを出せばお客さんは必ずまた来てくれるんじゃ
はい、がんばります(感動)(涙)
・・・・、え?これ、僕が演じるの?
無理無理無理無理ィ〜〜〜〜〜〜〜〜だよね?
僕は黙ってお皿を下げ、上着を来て、
そのまま誰にもなんにも言わず、歩いて
10分の家に帰りました。
翌朝、誰もいない店に鍵をおいて、
葛西にもどり、現在にいたる。
今となっては、香ばしい思い出。
(焼きそばだけに・・・)
おわり
PS マルちゃんのカップ焼きそば、
美味しかったナリ おすすめだよ〜
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